温故知新 緑豆で健康増進!

花粉症や主婦湿疹、リウマチ対策!酢緑豆エキスは優れた薬膳素材

皆さん、花粉症に効果のあるサプリメントはないと感じていませんか。でも、その印象をガラリと変えるサプリメント素材があります。それは酢(酢酸)で抽出した綠豆エキスを配合したサプリメントです。注目に値するのは、アレルギーや炎症の根元になるサイトカインを抑制する作用です。単にヒスタミンに対応するものではありませんので、画期的です。しかも綠豆はもやしやはるさめの原料なので、安全です。綠豆のもやしやはるさめにアレルギーがなければ、小さな子供からお年寄りまで、全ての方が利用できます。

では、毎年花粉症で悩んでいる方に朗報として、酢(酢酸)で抽出した綠豆エキスの作用と効果をご説明します。

古くから緑豆はアルコールの解毒に利用されてきましたが、それだけではありません。

サイトカインストームを抑制して、花粉症や湿疹などのアレルギー疾患はもとより、様々な炎症反応を緩和する可能性があります。

最近、炎症性物質のサイトカインの過剰分泌を抑制する作用があることが、学会で報告されました。

花粉症やアレルギー性湿疹などのⅠ型アレルギー疾患やリウマチなどの膠原病の他、心臓病、脳卒中、腎臓病といった成人病の症状緩和や予防に役立つ可能性を示唆しています。

緑豆とは?

生(ヤエナリ)、文豆(ブンドウ) 、青小豆とも呼ばれます。

5mmほどの小さな豆で、もやしや春雨の原料としても知られています。

中国や韓国では古くから肝機能を高め、ヒ素や農薬、アルコールな土解毒に用いられてきました。

緑豆ともやし

この緑豆の解毒作用は、NHKで放映されていた韓流ドラマ「チャングムの誓い」でも紹介されていました。

女官だったチャングムの母が騙されて、ヒ素が入った漢方薬を飲むことになりましたが、寸前に、チャングムの親友が緑豆の煎じ汁を飲ませたことで、一命を取りとめたという内容でした。

このように歴史的にも、緑豆の解毒効果は定評があります。

緑豆の料理としてはお粥が有名ですが、お汁粉風に仕上げても美味しく食べられます。炒ってお茶にしたり、サラダに和えたりと利用法は沢山あります。

また、経験的に豆類の薬効を高めるには酢漬けが最適と言われています。

実際、酸性の溶液で抽出した緑豆のポリフェノール量は多く、しかも抗酸化活性も強いという報告があります。

抗酸化活性とは動脈硬化やガン、アレルギーの原因のひとつとして挙げられる活性酸素を消去する作用です。

因みに酢で抽出した緑豆エキスのSOD活性(抗酸化効果)は8.3×10という驚異的な数値を示していました。

解毒作用の動物実験

概要は、シロネズミの飼料中に農薬(マラソン及びメソミル)を添加し、血中の生化学的検査値を測定、緑豆エキスの効果を調べるというものです。

この実験では、肝障害に関わると考えられるGOT、GPT、ALP、ACEなどの生化学的な検査、並びに肝臓の組織診断を行っています。

その結果、緑豆エキスの投与により農薬による急性肝障害の回復が示唆されました。

また、病理組織学検査結果を見ると、マラソン及びメソミル摂取により、肝組織に微小肉芽腫の発現が見られましたが、緑豆エキスの投与により改善あるいは軽減される知見が得られ、解毒効果が示唆されました。

かつて中国では、農薬中毒に緑豆を利用しましたが、この実験によりその裏付けがとれました。

現在、中国や韓国、台湾ではアルコールによる悪酔いや二日酔いに緑豆を利用しています。

農薬は少量でも死にいたる毒物ですので、アルコールの解毒ぐらいでしたら、容易なことでしょう。

また、抗ヒスタミン・抗アレルギー作用があることもわかり、花粉症や皮膚湿疹などにも利用されています。

さらに抗炎作用も強く、リウマチなど膠原病や、動脈硬化からの心筋梗塞や脳卒中、糖尿病の諸症状の予防にも役立つことが知られています。

これは生まれ持った免疫機能の最適化にも役立つことを示唆しています。

最近、その理由の一端が解明されました。

緑豆に含まれるビテキシンなどのポリフェノールが、免疫細胞から放出される炎症性サイトカインを抑制して、アレルギー反応をおさえたり、炎症による組織の機能不全を緩和させたりするとの学会報告がなされました。

サイトカインストームを抑制!注目成分ビテキシン

生体は免疫増強物質の炎症性サイトカインを分泌して外傷や感染症と戦います。

短期間で戦いが収まれば、抗炎症性サイトカインが分泌され、炎症性サイトカインの量が激減することで、元の健康を取り戻します。

ところがダラダラ戦いが続くと、抗炎症性サイトカインも引き続き分泌され慢性的な炎症を起こしてしまいます。

また、膠原病でも慢性的にサイトカインが分泌され、腫れや痛みといった炎症症状を表すと言われています。

更に炎症が長引くと、サイトカインが過剰に放出され、炎症組織だけではなく、健康な組織までダメージを与えてしまします。

これをサイトカインストームと呼んでいます。

自己免疫と獲得免疫

心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などの元凶となる動脈硬化もサイトカインストームが原因のひとつと言われています。

コロナの重症化も後遺症の原因もサイトカインストームが有力視されています。

厄介なことに、老化現象もサイトカインストームが深く関係しているとのことです。

生体は新陳代謝を繰り返すことで新しい細胞に置き換わっていますが、加齢でこの機能が衰えると、古いものを自己処理できなくなり、これが壊死崩壊すると炎症の元になります。

炎症を察知した免疫細胞は炎症性サイトカインを分泌させ、これ以上炎症が広がらないように努めます。

ところが、次から次に壊死崩壊物が生まれると、炎症性サイトカインを出し続けることになります。

次第に臓器の機能が衰え、これが老化の結び付くという学説があるのです。

この連鎖反応的に発生するサイトカインの過剰放出の引き金になるのはHMGB1という炎症細胞で作られるタンパク質の出現です。

したがって、HMGB1の発生を抑制すれば、サイトカインストームが防げる可能性があります。

実は緑豆に含まれるビテキシンにはHMGB1をブロックする働きがあるとの報告があります。

つまりサイトカインストームの害から身体を守ってくれる可能性があるのです。

抗ヒスタミン作用の実験

まずは抗ヒスタミン作用の実験です。

ヒスタミンを誘発するコンカナバリンAをラットの腹部の肥満細胞に曝露しても、緑豆エキスを投与することによりヒスタミンの発生が激減し、その抑制率は61%に及んだとのことです。

ヒスタミンは花粉症や蕁麻疹、アトピーの際に放出されるⅠ型アレルギー物質です。抑制率が高ければ、その分症状の緩和が期待できます。

しかも図1の通り、0.1μg/mL(1/10,000,000g/mL)という低濃度でも2%という抑制率でした。

食品としては驚異的な数値です。

図1

薬物濃度抑制率
緑豆3mg/mL61%
0.1mg/mL25%
0.0001mg/mL2%

抗アレルギー作用の実験

佐藤先生らは、引き続き緑豆の抗アレルギー作用の実験をして、経口投与でも効果があることを報告しています。

免疫の基本は抗原抗体反応ですが、抗原に対しての抗体の反応が過剰に働き、ヒスタミンが多量に遊離された状態がアレルギーです。

ラットに抗原である牛血清アルブミンに反応する抗体を背部皮内に注射後、48 時間経過した時点で牛血清アルブミンを注射し抗原抗体反応を起こさせましたが、このとき緑豆エキスを事前に経口投与すると反応が強く抑制されました。

図2の通り、医薬品の抗アレルギー剤トラニラストの1.7倍もの抗アレルギー作用を確認しています。

佐藤先生は、これは緑豆の抗サイトカイン作用が影響を及ぼしている可能性があると、コメントされていました。

図2

薬物投与量(経口)抑制率
トラニラスト100mg/kg23%
緑豆100mg/kg39%

医師等による臨床

漢方や薬膳に詳しい医師や管理栄養士等の調査によると、11名の花粉症患者と2名の主婦湿疹患者に緑豆エキスを与えたところ、花粉症は9名に改善がみられ、うち4名は5日前後で鼻水、鼻づまりなどの症状が消失したとのことです。

しかも数年来利用していると、花粉が飛散する時期になっても殆ど症状が出ない例もあるとのことです。過敏な体質が緩和するようです。

また、アレルギー湿疹や喘息の改善例もあるとのことです。

どれもⅠ型アレルギーに分類されるので、特に驚くことではないでしょう。

更に難治とされる主婦湿疹に関しては下の画像の通り、両名とも約1ヶ月で赤みかゆみといった炎症症状が取れたとのことです。

主婦湿疹の症例 Aさん

主婦湿疹の症例 Aさん
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1ヶ月後
主婦湿疹の症例Aさん
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拡大主婦湿疹の症例 Bさん

主婦湿疹の症例 Bさん
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1ヶ月後
主婦湿疹の症例 Bさん
クリックすると拡大します

更に2名の糖尿病からの閉塞性動脈硬化症の患者さんに試したところ、明らかに潰瘍の部分が減り、健康的なピンク色の部分が増えたとのことです。

詳細は次の画像の通りです。

令和4年1月22日 糖尿病性閉塞動脈硬化症による足の潰瘍が発生。

抗血小板薬や血管拡張薬を投与。

令和4年5月16日

更に他の薬剤も追加投与するも改善が確認されないので、本人の同意を得て酢緑豆エキスを併用。

令和4年8月18日

左第1趾の潰瘍を除き、全ての潰瘍が瘢痕を残し治癒、左第1趾の潰瘍も縮小している。

薬剤が遅延性に効果を示したのか、あるいは酢緑豆エキスが薬剤の作用を相乗的に高めたのか、それを確かめるため、今後も同様の臨床研究を続けるとのことです。

その他、酢緑豆エキスを配合したものを、多くのリウマチなどの膠原病患者に投与したところ、関節の痛みやむくみが緩和されたという報告もあるようです。

このように酢緑豆エキスは単なる抗アレルギー作用ではなく、炎症の元凶となるサイトカインを抑制することにより、花粉症やアレルギー性湿疹などのⅠ型アレルギー疾患やリウマチなどの膠原病の他、心臓病、脳卒中、腎臓病といった成人病の症状緩和や予防に役立つ可能性を示しています。

以上、綠豆の作用や効能についてご説明しました。緑豆エキスを配合した緑豆エキスサプリメントは市場に流通しています。酢で抽出されたエキスを配合した緑豆エキスサプリメントも販売されています。実際、花粉症に関しては飲んだ翌日から鼻水が止まり、鼻が開通し、目のかゆみもとれたという喜びの声も届いているとのことです。

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